2022.6.29更新
奥多摩の鳩ノ巣フィールドにおいて『森林インストラクター資格取得支援講座』8日目「林業-実習」を実施しました。都心では猛暑日が続く中で、新型コロナウイルス感染と熱中症に注意しながら行いました。
フィールド入口の倉庫前で身支度を整え、西川を渡った広場で開会式を行いました。参加者・講師の自己紹介のあと、講師の関さんから「鳩ノ巣フィールド」での20年にわたる森づくりの説明がありました。
広場脇のワサビ田で特用林産物について、草が押しつぶされた(鹿の寝床)広場でシカの生態と食害の解説を聞きました。スギ・ヒノキの人工林で、花粉の飛散量が少ない苗を植林したことや、一本毎に枝打ちなどを記録管理する毎木管理について、間伐したスギ材の葉を残して乾燥させる葉干し、枝先の緑色した部分で樹の健康が判断できること、間伐は劣勢間伐と優性間伐の2通りあること等々、実物を見ながらいろいろな説明を聴きました。
胸高直径30cm程のヒノキの前では、50年以上かけて育てたヒノキが僅か2000円の収入にしかならない事を聞き、急斜面で、伐っても運び出せない、経済的に成り立たない日本の林業の宿命について認識を深めました。
昼休みには、杉の丸太の年輪を見ながら早材と晩材について、光合成の生産速度と環境因子(温度、水、光の強さ、CO2濃度)の関連についてわかりやすい解説がありました。
午後は、3年前の台風の大雨による洪水で荒れた薬師沢で、洪水で(ショックを受けて)樹勢が急変したミツデカエデについて説明をきき、子供相手の観察会では自然の不思議さが判るような物語も必要であることを体感しました。
20年前にスギを皆伐してその跡に広葉樹を植えた雑木林と、何も植えずに放置した天然生林の違い(樹種の多さや老木若木の樹齢の違い)を観察しました。
途中で蛇に遭遇し、講師から背中に丸い模様があるのはマムシで、とぐろを巻いている時は注意が必要とのハプニングがありました。
ヒノキの人工林では藤に巻き付かれて幹が曲がった木をみてツル切り作業の必要性、スギは枯れた下枝を落とすがヒノキは枯れた下枝が残るため枝打ちが必要なこと、下層植生がないため雨が降ると表土が流出すること、土砂の流出を防ぐための治山工事の必要性や砂防ダムの構造など、実物をみながら色々なことの説明がありました。
閉会式では、日本の林業の課題が実感できた、テキスト記載事項〔樹冠の閉鎖など〕について理解できた、資格を取ったら森づくり作業に参加したいなどの感想があり、講師に御礼をのべて終了しました。
参加者:金子さん、鈴木さん、立川さん、水上さん、西出さん、山口さん
講 師:関 美知夫さん
スタッフ:芝原〔事務局・写真〕、槙田〔報告・HP〕
報 告:槙田幹夫
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